田村潔司「解析UWF」第2回…アントニオ猪木が与えた多大なる影響

新生UWFのブームは間接的に猪木さんがもたらした

ボク自身が猪木さんの闘いで最も影響を受けたのは、1986年から87年にかけての新日本とUWFの業務提携時代。あの頃は、『ワールドプロレスリング』を毎週ビデオに録画して、何度も繰り返し観ていたのを思い出す。ボクがファン時代にいちばん夢中になったのは、あの頃かもしれない。そして、のちに新生UWFの人気が爆発する土壌を作ったのもこの時代だと思う。

第1次UWFはテレビのレギュラー放送がなかったけれど、新日本との業務提携時代は『ワールドプロレスリング』が毎週ゴールデンタイムで放送されていた。その時、テレビで新日本とUWFの闘いを見て、猪木さんや藤波さんを蹴りまくる前田さんのファンになった人はたくさんいると思う。

そしてあの業務提携時代、数ある試合の中でUWF人気を決定づけたのが、前田さんとキックボクサーのドン・中矢・ニールセンとの異種格闘技戦だったと思う(86年10月9日、両国国技館)。

あの日はメインイベントで猪木さんも元プロボクシング世界ヘビー級チャンピオンのレオン・スピンクスと対戦。前田さんはニールセンとみんながハラハラドキドキするようなすごい試合をしたのに対し、猪木さんとスピンクスは盛り上がりに欠ける試合になってしまった。異種格闘技戦は当たり外れがあるものだから、仕方がないとは思うんだけど、その大会を報じるプロレス雑誌の表紙コピーが「前田、猪木に勝つ」だった。これがUWFと前田さんにとって本当に大きかったと思う。

前田さんは、猪木さんと直接闘ったわけじゃないけれど、間接的にこれまで誰も勝てなかった猪木さんに「勝った」。それによって新日本プロレスを中心に観ていたファンの気持ちが、猪木さんや新日本から前田さん、UWFに移っていったんだと思う。1988年に新生UWFが社会現象と呼ばれるブームを起こすのは、これが原点になっている。

それプラス、当時の新日本プロレスは両者リングアウトとか、誰かが乱入してきたりとか、不透明決着が多かった。そこにファンのフラストレーションが溜まっている時に、完全決着を打ち出した新生UWFが旗揚げしたことで、みんなの気持ちがそっちに向かっていった。

とにかく「前田、猪木に勝つ」のインパクトは絶大だった。あの日を境に時代の主役が猪木さんから前田さんに移ったんだと思う。あの日なくして、のちの新生UWFのブームはなかった。だからUWFの人気というのは、間接的に猪木さんによってもたらされたものでもあるのだ。

取材・文=堀江ガンツ

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田村潔司=たむら・きよし|1969年12月17日生まれ、岡山県出身。1988年に第2次UWFに入団。翌年の鈴木実(現・みのる)戦でデビュー。その後UWFインターナショナルに移籍し。95年にはK-1のリングに上がり、パトリック・スミスと対戦。96年にはリングスに移籍し、02年にはPRIDEに参戦するなど、総合格闘技で活躍した「孤高の天才」。現在は新団体GLEATのエクゼクティブディレクターを務めている。

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