2022-11-03 18:05

田村潔司「解析UWF」第2回…アントニオ猪木が与えた多大なる影響

新生UWFのブームは間接的に猪木さんがもたらした

ボク自身が猪木さんの闘いで最も影響を受けたのは、1986年から87年にかけての新日本とUWFの業務提携時代。あの頃は、『ワールドプロレスリング』を毎週ビデオに録画して、何度も繰り返し観ていたのを思い出す。ボクがファン時代にいちばん夢中になったのは、あの頃かもしれない。そして、のちに新生UWFの人気が爆発する土壌を作ったのもこの時代だと思う。

第1次UWFはテレビのレギュラー放送がなかったけれど、新日本との業務提携時代は『ワールドプロレスリング』が毎週ゴールデンタイムで放送されていた。その時、テレビで新日本とUWFの闘いを見て、猪木さんや藤波さんを蹴りまくる前田さんのファンになった人はたくさんいると思う。

そしてあの業務提携時代、数ある試合の中でUWF人気を決定づけたのが、前田さんとキックボクサーのドン・中矢・ニールセンとの異種格闘技戦だったと思う(86年10月9日、両国国技館)。

あの日はメインイベントで猪木さんも元プロボクシング世界ヘビー級チャンピオンのレオン・スピンクスと対戦。前田さんはニールセンとみんながハラハラドキドキするようなすごい試合をしたのに対し、猪木さんとスピンクスは盛り上がりに欠ける試合になってしまった。異種格闘技戦は当たり外れがあるものだから、仕方がないとは思うんだけど、その大会を報じるプロレス雑誌の表紙コピーが「前田、猪木に勝つ」だった。これがUWFと前田さんにとって本当に大きかったと思う。

前田さんは、猪木さんと直接闘ったわけじゃないけれど、間接的にこれまで誰も勝てなかった猪木さんに「勝った」。それによって新日本プロレスを中心に観ていたファンの気持ちが、猪木さんや新日本から前田さん、UWFに移っていったんだと思う。1988年に新生UWFが社会現象と呼ばれるブームを起こすのは、これが原点になっている。

それプラス、当時の新日本プロレスは両者リングアウトとか、誰かが乱入してきたりとか、不透明決着が多かった。そこにファンのフラストレーションが溜まっている時に、完全決着を打ち出した新生UWFが旗揚げしたことで、みんなの気持ちがそっちに向かっていった。

とにかく「前田、猪木に勝つ」のインパクトは絶大だった。あの日を境に時代の主役が猪木さんから前田さんに移ったんだと思う。あの日なくして、のちの新生UWFのブームはなかった。だからUWFの人気というのは、間接的に猪木さんによってもたらされたものでもあるのだ。

取材・文=堀江ガンツ

――まだまだ続く記事は発売中の「BUBKA12月号」で!

田村潔司=たむら・きよし|1969年12月17日生まれ、岡山県出身。1988年に第2次UWFに入団。翌年の鈴木実(現・みのる)戦でデビュー。その後UWFインターナショナルに移籍し。95年にはK-1のリングに上がり、パトリック・スミスと対戦。96年にはリングスに移籍し、02年にはPRIDEに参戦するなど、総合格闘技で活躍した「孤高の天才」。現在は新団体GLEATのエクゼクティブディレクターを務めている。

闘魂と王道 – 昭和プロレスの16年戦争
Amazonで購入

BUBKA12月号 コラムパック
Amazonで購入

Amazon Kindle

楽天Kobo

Apple Books

紀伊國屋Kinoppy

BOOK☆WALKER

honto

セブンネットショッピング

DMM

ebookjapan

ブックパス

Reader Store

COCORO BOOKS

コミックシーモア

ブックライブ

dブック

ヨドバシ.com

その他、電子書籍サイトにて配信!

えなこが表紙を飾るBUBKA (ブブカ) 2022年 12月号
Amazonで購入

ノイミー蟹沢萌子と冨田菜々風が表紙を飾るBUBKA (ブブカ) 2022年 12月号 セブンネットショッピング限定版
セブンネットショッピングで購入

Twitterでシェア

関連記事

BUBKA RANKING5:30更新

  1. 鈴木みのるインタビュー、帝王・高山善廣のこれまでとこれから
  2. すべての球団は消耗品である「#3 1999年の野村阪神編」byプロ野球死亡遊戯
  3. SKE48荒井優希、3度目の防衛成功「ここで満足せずにもっと高みを目指す」
  4. SKE48荒井優希「プロレス界でももっと1番を狙っていけるように」渡辺未詩とのタッグで勝利を収める
  5. SKE48荒井優希&山下実優組がアジャコング&宮本もか組に勝利!!リング上ではSKE48のミニライブも
  6. SKE48荒井優希選手「CyberFight Festival 2022」参戦!6人タッグマッチに挑む
  7. SKE48荒井優希、赤井沙希とのタッグで勝利!プリンセスタッグ選手権ベルトに挑戦
  8. SKE48荒井優希&赤井沙希、プリンセスタッグ第10代王者のベルトを手にして号泣
  9. SKE48荒井優希、宮本もか選手とのタッグで準決勝進出「この勢いで次の試合でも頑張りたい」
  10. SKE48荒井優希、人生初の“ビンタ”に気合!!久々のシングルマッチ決定に「自分のできることを全部出せたらベスト」
  1. 39年前のサザンの名曲がCMソングに…綾瀬はるかと河合優実が初共演
  2. 乃木坂46・遠藤さくらに齋藤飛鳥の影!?ドームツアーで放った圧倒的存在感の理由
  3. 「ひなたフェス2024」がついに開幕!野外ライブでブチ上がる楽曲『キツネ』の合法的飛び跳ね方のススメ
  4. 乃木坂46ドームツアー考察”2年連続座長”のエース・井上和の涙から感じた「乃木坂46らしさ」とは?
  5. HKT48『僕はやっと君を心配できる』MV公開!Wセンター石橋颯「胸がぎゅっとするようなメンバーの表情がたくさん」
  6. 乃木坂46田村真佑&池田瑛紗、“期の最年長”ペアが語るグループの現在地
  7. 日向坂46「ひなたフェス2024」開催直前!大興奮の松田好花が「見ないでほしい」ほど恥ずかしいものとは!?
  8. 鈴木みのるインタビュー、帝王・高山善廣のこれまでとこれから
  9. 乃木坂46「真夏の全国ツアー2024」7公演総動員数26.5万人…聖地 明治神宮野球場で終了
  10. 日向坂46・四期生が誰よりも高く跳んだ日━━武道館3Daysで見せつけた実力と一体感、そしてハッピーオーラ!