清原和博が野球人としてもっとも輝いていた時代を読む3~プロ野球死亡遊戯があえて“令和の夏”に書きたかった話(著/中溝康隆)

7月21日発売『キヨハラに会いたくて 限りなく透明に近いライオンズブルー』(白夜書房)より

あれ? 野球バカになりたくないと真面目に授業を受け続け、1カ月前の国体終了時に「100%進学です。僕を指名しないでください」と宣言したわりには意外と嬉しそうな……。となると、当然世間は巨人と桑田の密約説を疑う。夢破れたキヨマーの涙も効いた。野球部の寮では一部の部員がバット片手に桑田を探しまわり、PL野球部の中村監督も「2人の友情を裂くような巨人の行為に憤りを感じます」なんて怒りを露わに。この様子はメディアのトップニュースで報道され、完全に社会的事件扱いだ。直後に発売されたファミコンソフトが『ポートピア連続殺人事件』ってそこじゃなくて、人気アニメ『タッチ』の上杉達也の投球フォームモデルとなり、甲子園の清く正しく美しいアイドル投手だった17歳は、一夜にして球界最大の悪役となったのである。

ここでドラフト当日のスポーツ新聞各紙の巨人1位指名予想は、機関紙の報知が「伊東昭光(本田技研)」、サンスポが「清原か、長富浩志(NTT関東)」だったし事前にある程度の予測はできたんじゃなんて冷静な突っ込みは野暮だろう。すでに一途な想いを裏切られた清原、ヒールの桑田というストーリーだけがひとり歩きしているような印象すらある。ただ、さすがというか世界の王監督はくぐってきた修羅場の数が違う。己の現役引退すら直前まで隠し通した男は、ドラフト会場で「ビックリされたようだけど、こちらとしてはね、ある程度自分ではそういう風に思ってましたしね。決して清原君が駄目だとかそういうことじゃなくて。今現在ジャイアンツにはピッチャーが欲しいんだ」と報道陣の質問に答え、ドラフト司会を務めていた当時のパ・リーグ広報部長パンチョ伊東氏は、のちに『プロ野球ニュース』のインタビューにこう舞台裏を明かしている。

「(指名の用紙を)パッと見たら、読売……そしたらね、桑田真澄と書いてある。ビックリしましてねぇ、正直言って。ちょうどね私の斜め前、45度くらいの角度だったのかな。読売巨人軍のテーブルでした。王貞治さんが監督でねえ、こっちを見ていてねえ。僕はその紙を見てビックリしたんでね、パッと思わずそのテーブルを見たわけ。そしたら王さんが僕の方を見てねニコッと笑って、パッとこんなこと(ウインク)やった記憶がある。はーっと思ったんですよ」

キヨハラに会いたくて 限りなく透明に近いライオンズブルー
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