櫻坂46『桜月』、作品に散りばめられた情熱と想い…『桜月』アートディレクション安田晃大(KEE FACTORY)

櫻坂46 5thシングル『桜月』ジャケットのアートディレクションを担当した安田晃大氏

5thシングル『桜月』はどのように完成したのか。振り付けを担当した、TAKAHIRO、『桜月』のMV監督を務めた金野恵利香、そして今作のジャケットのアートディレクションを担当した安田晃大の言葉から、作品に散りばめられた情熱と想いを感じてほしい。

パフォーマンス力の高い集団ではあると思うので そこが「図形楽譜」と紐づいたんです

その時にしか生まれない動き

――安田さんは、これまでアパレルの広告を担当されることが多かったのでしょうか?

安田晃大 アパレルのビジュアルを作ることが多いと思います。他にはファッションデザイナーと組んでブランドを立ち上げたり、海外誌に作品を提供したりと、活動としては常に複数の案件が動いています。

――遡ると、美大を卒業して広告関係の会社に入って、という形で……。

安田晃大 そうですね。まず地元の大阪の広告代理店に入りました。その後、ニューヨークのデザイン会社でグラフィックデザイナーとして約1年半働きながら、作品づくりなどをしてました。日本に戻って、猛アプローチの末に師匠のもとで仕事をさせてもらいました。その師匠から独立して、いまに至ります。

――(事務所にカンバスがおいてあったので)安田さんは絵も描かれるんですか?

安田晃大 アパレルの店舗に絵を描くこともあるんです。例えば、店のファサード(建築物の正面)に僕が作ったビジュアルを貼らせてもらって、そのうえにライブでペインティングさせてもらったり。

――それは「ライブペインティングしますよ」と告知して、ですか?

安田晃大 いや、ゲリラではじめました。

――経歴を聞いてばかりですみません。仕事の履歴が書かれたホームページがなくて、個人のインスタグラムだけなので、安田さんの活動がなかなか追えなくて。

安田晃大 仕事の履歴をまとめるところまで手が回らないのと、自分がやったことをどう発表しようかと考えてたら時間が経ってしまって(笑)。今回の櫻坂46のアートディレクションも、カメラマンのクレジットで僕の名前を見たレーベルの方がインスタにDMを送ってくれたことがはじまりだったんです。

――そういう経緯だったんですね。

安田晃大 「コンペに参加してもらえないですか?」というメッセージをいただいたんです。お会いした時は、「本当に実在していたんですね」と言われました(笑)。DMも返ってくるのか不安だったそうです。まぁ、あの情報量だとそう思いますよね。

――いまの時代だと珍しい情報量です(笑)。CDジャケットのアートディレクションはやったことがあるんですか?

安田晃大 今回が初めてでした。

――コンペに参加することは多いんですか?

安田晃大 コンペに参加することに積極的ではないんですけど、今回のように僕に興味を持ってくれたことがうれしくて、やってみようと決めました。

――どんな案を提出したのでしょうか?

安田晃大 「答えのないものは人を豊かにしてくれる」という大きなコンセプトからはじめて、「視覚で音を表現すること」をテーマに掲げました。自分と音楽との関わりを考え直した時、みなさんもそうだと思うんですけど、音楽と記憶は紐づいていることに気づいたんです。聴いた瞬時に青春を思い出すような曲は誰にでもあるはず。いまは曲を聴くツールがサブスクになっているのかもしれないけど、僕の世代はレコードやCDで。「ジャケ買い」することもありました。理屈じゃない形で出会ってしまう偶然性も、音楽の魅力のひとつだと思うんです。それで、「視覚で音を表現する」アートワークを提案しました。

――そのコンペは先方から「こういうテーマで」という指定はなかったんですか?

安田晃大 ありませんでした。OSRIN(PERIMETRON)さんのアートワークは資料として拝見させていただいて。2ndシーズンとして、どういう方向性でビジュアルを作っていこうを提案しました。

――インタビューの続き、櫻坂46特集は発売中の「BRODY4月号」で!

取材・文=大貫真之介

安田晃大=やすだ・あきひろ|1980年8月13日生まれ、大阪府出身。大阪、NY、東京のデザイン事務所を経てKEE FACTORYを設立。アート活動を軸にしながら、アパレルブランドのクリエイティブディレクションやブランディング、ビジュアルメイキング、デザインを行う。

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