2022-11-04 11:10

辺境ノンフィクション作家・高野秀行氏が明かす語学習得法

「言語のノリ」

――その法則の発見方法も書かれているから面白い。ところで、先ほどコロナで2年ほど海外に行けなかったと仰っていましたが、最後に訪れた海外ってどこだったのでしょう?

高野秀行 今年に入ってから、タイとイラクに行ったのですが、コロナ前となるとイラクですね。『オール讀物』の「イラク水滸伝」という連載で、イラクに行って取材をしていたのですが、3回目の取材へ行こうとしたら、コロナになってビザが下りなくなっちゃった。

――イラクはアラビア語ですか?

高野秀行 そうです。取材するにあたって、日本に住むイラク人から、アラビア語のイラク方言を教えてもらっていたんですよね。

――やっぱり「ネイティブに習う」なんですね(笑)。

高野秀行 僕にはその方が合う(笑)。ただ、何しろ記憶力が衰えている。3年前に1年ぐらい習っていたんですけど、コロナになってからいつ行けるかわからない状況になってしまった。行くと決まっていれば復習するけど、いつ行けるかわからないとモチベーションが下がっちゃって。あと、現地に英語をものすごく流暢に話すパートナーがいて、その人を介せばすべて通訳できるので必要ないなって。それであまり勉強もせずに、今年、3年ぶりにイラクへ行ったんですけど、そのパートナーが病気で入院してしまって。突然、僕のしょぼいアラビア語イラク方言のみですべての取材をやらなきゃいけなくなった。無理ゲーですよね(笑)。

――高野作品を読んでいる身からすると、「待ってました!」的な展開に思えてしまいます(笑)。

高野秀行 絶望的な気持ちもあるけども、3割くらいは「ちょっと面白いな」という展開ですよね。語学って、いかにモチベーションを持つかに尽きると思います。強制的にやらされても身に付きづらい。すべてのことに言えると思いますが、特に語学はそうで、漠然とやるのは難しい。例えばスペイン語を覚えるなら、スペイン料理が好きでスペインのバルに行ってみたいとか、どんな目的でもいいんですよ。目的があったら、そこを中心に単語や表現を覚えていけばいい。目的の半径5mぐらいの動詞や単語を集中的に覚えれば何とかなる。語学が得意という人は、半径100mぐらいをカバーできるかもしれないけど、苦手な人や歳を重ねた人には荷が重すぎる(笑)。手の届かない遠くに来たボールを取ろうとしても無理。自分の目の前に来たボールだけ受け取って、パスができるようになればいいんですよ。

取材・文=我妻弘崇

――まだまだ続くインタビューは発売中の「BUBKA12月号」で!

高野秀行=たかの・ひでゆき|1966年、東京都生まれ。ノンフィクション作家。ポリシーは「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをし、誰も書かない本を書く」。『ワセダ三畳青春記』で酒飲み書店員大賞を、『謎の独立国家ソマリランド』で講談社ノンフィクション賞等を受賞。『アヘン王国潜入記 』、『西南シルクロードは密林に消える』など著書多数。

語学の天才まで1億光年
Amazonで購入

BUBKA12月号 コラムパック
Amazonで購入

Amazon Kindle

楽天Kobo

Apple Books

紀伊國屋Kinoppy

BOOK☆WALKER

honto

セブンネットショッピング

DMM

ebookjapan

ブックパス

Reader Store

COCORO BOOKS

コミックシーモア

ブックライブ

dブック

ヨドバシ.com

その他、電子書籍サイトにて配信!

えなこが表紙を飾るBUBKA (ブブカ) 2022年 12月号
Amazonで購入

ノイミー蟹沢萌子と冨田菜々風が表紙を飾るBUBKA (ブブカ) 2022年 12月号 セブンネットショッピング限定版
セブンネットショッピングで購入

Twitterでシェア

関連記事

BUBKA RANKING5:30更新

  1. すべての球団は消耗品である「#3 1999年の野村阪神編」byプロ野球死亡遊戯
  2. 宮戸優光「前田さんとの関係が、第三者の焚きつけのようなかたちで壊されてしまったのは、悲しいことですよ」【UWF】
  3. 【BUBKA2月号】栗栖正伸、イス大王が語る遅咲きヒールとしての苦節50年
  4. 船木誠勝「ガチンコでやれば八百長って言われなくなる 単純にそう思ってましたね」【UWF】
  5. Uインターの生き字引 鈴木健が語る 髙田延彦vs北尾光司戦の真実
  6. 【BUBKA2月号】天龍源一郎がレジェンドレスラーについて語る!ミスタープロレス交龍録 第38回「蝶野正洋」
  7. 吉田豪新連載「what’s 豪ing on」Vol.2 向井秀徳
  8. 乃木坂46与田祐希「『難しいからやらない』『あきらめる』っていうのは絶対違うなと思う できる限りは全力で挑戦したいなって思います」
  9. 天龍源一郎がレジェンドレスラーについて語る!ミスタープロレス交龍録 第46回「渕正信」
  10. ハチミツ二郎×掟ポルシェ対談…孤高のショーストッパーの生還
  1. 39年前のサザンの名曲がCMソングに…綾瀬はるかと河合優実が初共演
  2. 乃木坂46・遠藤さくらに齋藤飛鳥の影!?ドームツアーで放った圧倒的存在感の理由
  3. 「ひなたフェス2024」がついに開幕!野外ライブでブチ上がる楽曲『キツネ』の合法的飛び跳ね方のススメ
  4. 乃木坂46ドームツアー考察”2年連続座長”のエース・井上和の涙から感じた「乃木坂46らしさ」とは?
  5. HKT48『僕はやっと君を心配できる』MV公開!Wセンター石橋颯「胸がぎゅっとするようなメンバーの表情がたくさん」
  6. 乃木坂46田村真佑&池田瑛紗、“期の最年長”ペアが語るグループの現在地
  7. 日向坂46「ひなたフェス2024」開催直前!大興奮の松田好花が「見ないでほしい」ほど恥ずかしいものとは!?
  8. 鈴木みのるインタビュー、帝王・高山善廣のこれまでとこれから
  9. 乃木坂46「真夏の全国ツアー2024」7公演総動員数26.5万人…聖地 明治神宮野球場で終了
  10. 日向坂46・四期生が誰よりも高く跳んだ日━━武道館3Daysで見せつけた実力と一体感、そしてハッピーオーラ!