DABO「Platinum Tongue」かく語りき…Rの異常な愛情 番外編

2001年の象徴曲

――トークの中で「DABOさんはどうやってリリックを書いているのか」という話にもなったんですが、種明かし的になって恐縮ですが、DABOさんは例えば超推敲してリリックを書いているのか、逆に一本で書いていくのか、ケースバイケースだとは思いますが、比重としてはどちらの方が強いですか?

DABO 俺はほとんど、9割9分ぐらいのリリックは、頭から普通に書いていく。

――ええ! まじっすか?

DABO うん。「先に韻の位置とか決めてやってるんでしょ?」ってよく聞かれるんだけど、それはしたことない。ラップでそれをするのはシャバくない? って思う方だから。

――文章を書くのと同じになってしまうというか。

DABO そうだね。でも、何で俺がそこに意地を張ってるのかはわかんない(笑)。

――ただキック・ザ・カン・クルーのLITTLEさんが主宰するYouTube「愛韻TV」にご出演された際、「“レクサスグッチ”は韻の配分を決めていた」と仰られていますね。

DABO だから“レクサスグッチ”は珍しいタイプで、そうやって作ったのは、後にも先にもあの曲だけだと思う。しかもそうやって書いたのは〈Hey Hey Hey~〉からの早い掛け合いの4小節だけだね。あの部分だけ脚韻を含めた韻が、同じビートの場所に来るように設計していて。だから他のパートは韻を踏んでいても場所はランダムでしょ?

――確かにそうですね。

DABO 全体を通しても、固くガッチリ踏むっていうより、フロウで展開してる韻も多いし。でもそれも当時のサウスヒップホップによくあった、「軽やかな韻」みたいなものにしたほうが、2000年っぽくていいなと思ったからなんだよね。

――DABOさんが『Platinum Tongue』の全曲解説するインスタライブの中で、“レクサスグッチ”を作ったのは、アルバムをほぼ作り終えたタイミングというハードスケジュールの究極のような段階で、しかも熱が40度近くあったという体調不良のなか、というお話されていましたね。

DABO そうなんだよ(笑)。

――Rくんは「その状況なら俺は飛びます」って震えていました(笑)。

DABO しかも次の日にはNYにマスタリングに行く日程だったから、時間の猶予も一切なくて、スタジオで書いてそのまま録ってるからね。だからもう、あの時はマシーンと化した。「俺は今から朝の八時までにラップを書きあげて、そのままレコーディングするマシーンとなる。マシーンだから熱は関係ない。なぜなら、マシーンだから」みたいな(笑)。でも、そうすると不思議と変な集中力が出るもんで、一気に作れたんだよね。

――ただDABOさんのキャリアはそこで終わるわけではないし、『Platinum Tongue』自体曲数も多いから、「今回は保留にしておいて、次のシングルで」という考え方も出来ますね。

DABO でも2001年ってやっぱり、サウスの波がドカンと来てて、俺もサウスが面白くなっちゃってたし、制作の終盤になって『Platinum Tongue』に足りないピースがサウスだって気づいちゃったんだよね。そうなると作らざるを得ないわけで。そして俺はキャリア的にもリュダクリスと同期なのよ。俺がDef Jam Japanと契約が決まったときに、リュダクリスもDef Jam Southに所属して大フィーバーを巻き起こしてて。それで「あの感じがアルバムに欲しい」と思って、本当に最後の最後に「もう一曲作っちゃダメ?」っていう感じで、ワタくん(DJ WATARAI)に「本当に急で申し訳ないけど、サウス作りたいから、こういう感じのバウンストラックお願いっす」ってオーダーしたんだよね。それぐらいギリギリで作ってるから、リリックもちょっと俺的にはダサいでしょ。入口の〈肩揺らせBounce 腰揺らせBounce〉とか、バカでも書けそうじゃん(笑)。

聞き手・構成/ 高木“JET”晋一郎

――インタビューの続きは、発売中の「BUBKA5月号」で!

DABO|1975年生まれ。千葉県出身。1999年に『Mr.Fudatzkee』でデビュー。翌年、NITRO MICROPHONE UNDERGROUNDの一員としてアルバムをリリースし、日本のヒップホップシーンに多大な影響を与える。2001年にはDef Jam Japan第一号契約アーティストとして『PLATINUM TONGUE』をリリース。ソロ名義でこれまで5枚のアルバムと1枚のベストアルバムをリリースし、若手からレジェンドまで才能溢れるMCとの楽曲も多数。

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