「ノイミー」櫻井ももの歌から読み取る飽くなき探求心

抜群のアイドル性と歌唱力を持つ櫻井もも
ⒸYOANI

アイドルグループ「≠ME」(ノットイコールミー/通称ノイミー)のメンバーで、「ももきゅん」の愛称で親しまれる櫻井もも。ツインテールとピンク色が大好きで、必殺技に「ついんてーるあたっく」と「ぴーちくらっしゅ」を持つ、自称・桃の星のお姫様である(ちなみに桃の星は日本の神奈川県付近にあるとかないとか)。文字にするとなんだかクラクラしてしまうような属性がてんこ盛りだが、キャラが強烈だからといって侮ることなかれ。過剰に思えるようなそれらは、理想とするアイドルを追い求める姿勢が表れた一部分にしか過ぎない。そして、彼女のストイックで貪欲な性格は、その歌に最も表れているといっても過言ではない。

特徴的な可愛らしい声と正確なピッチを武器に持ち、グループ結成当初から歌唱力メンバーとして曲の重要なパートを任せられることが多かった彼女。ライブで披露されることも多い『君の音だったんだ』のラスサビでの冨田菜々風とのハモリや、『P.I.C.』のパートの吐息がかった歌い方はライブでも見どころの一つになっている。

2:04~と2:34~など短いパートでも圧倒的な歌唱力で見せ場へと変える

また、ファンのみならずプロデューサーの指原莉乃も櫻井の歌声に一目置いている。2022年に発売された3枚目シングル『チョコレートメランコリー』では、当時活動休養中にもかかわらず櫻井は歌唱に参加し、大きな話題となった。この件について指原は、櫻井の歌声はアクセントとなり曲全体を引き締めるため、本人に歌唱だけでも参加しないか打診したという経緯を明かしている。

櫻井のパートは1:07~と2:40~

周囲から絶大な評価を獲得し、またこの5年間でさらに表現の幅を広げてきた櫻井の歌声。にもかかわらず、本人は2月頃に「これまではスキルを伸ばすことを意識していたが、これからは“届ける力”をつけたい」とブログに綴っている。歌が上手いというだけで終わってしまうのではなく、聴いた人の心を動かせるようになりたい――そのために自分の歌を分析したり男性ボーカルの曲にも挑戦したりしていることを明かし、客観的な視点とさらなる向上心をうかがわせていた。

そして15日、『≠ME全国ツアー2024「やっと、同じクラス」』の神奈川公演が開催された。以前の記事でも触れた通り、今回のツアーはメンバーの出身地を巡る凱旋公演となっており、出身メンバーはソロで一曲パフォーマンスをすることになっている。神奈川県(もとい桃の星)出身である櫻井は、ツアーのファイナルである横浜アリーナの夜公演で満を持してのソロでの登場だった。彼女が選んだのは爽やかなサウンドに叶わない恋のもどかしさが歌われた、「=LOVE(イコールラブ/通称イコラブ)」の『この空がトリガー』だった。

正直、私自身はこの選曲に驚いた。というのも、アイドル性の高い可愛らしさ全開の楽曲か、それとも彼女にしか歌えないような歌唱スキルの求められる高難易度の楽曲かな、などと予想していたのだ。それに加え、これまでの凱旋公演ではAKB48グループや坂道グループの楽曲がソロ曲でカバーされていたため、その流れを踏襲するものだと勝手に思い込んでいた。

しかし、加入前からイコラブのファンだったこと、前述のブログの内容を踏まえれば必然の結果だった。尊敬する齋藤樹愛羅の衣装と髪飾りを身にまとい、櫻井は自らの武器である歌唱スキルではなく表現力だけでどこまでできるのかを約2万人の前で挑戦してみせた。決して実ることのない恋に身を焦がしながらも一途に想い続ける曲の主人公の想いを、時に苦しげな表情で、時にすがるような声色で表現した。その向こう側には、常に描き続けてきた理想のアイドル像と、冷静な視点で自分に足りないものを補おうとするたゆまぬ努力、そして何よりファンへの期待を常に越えようとし続ける気持ち……それらを胸に抱えた、等身大の“櫻井もも”がいた。

公演の後半で披露された櫻井のセンター曲『桃色デイブレイク』でも、ダークな世界観に合わせて今までよりも芯の太い声質で歌っているように感じられた。歌における息の使い方や声色、表情、そして体の使い方など細部に至るまで、彼女の表現力が発揮された公演だった。「目の前にいるファンはもちろん、それだけではなく、自分自身もいつかは感動させたい」。目標にどれくらい彼女は近づいたのだろうか。そしてこれから彼女はどこまで高みに登り続けるのだろうか。一つ言えることは、凱旋公演を通してわれわれはその過程の一部の目撃者となり得たということだ。

3月に開催された「≠ME 5th ANNIVERSARY PREMIUM CONCERT」で披露された『桃色デイブレイク』では自らスタッフに相談し、フェイクに挑戦した

■櫻井ももオフィシャルX
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