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吉田豪インタビュー

【BUBKA 2017年8月号】 吉田豪インタビュー BUBKA流スーパースター列伝 『吉田豪の“最狂”全女伝説』発売記念! 【柳澤 健】

「1985年のクラッシュ・ギャルズ」「1993年の女子プロレス」の作者が語る全女がいかに“最狂”だったのか?
連載「スーパースター列伝~女子プロレス編~」がこの度1冊の本になりました!
それを記念して、今月はノンフィクション作家・柳澤健をインタビュー。全女がいかに最狂だったのか? 数々の取材をこなしてきた二人が全女のリングに迫る!

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吉田豪インタビュー BUBKA流スーパースター列伝 『吉田豪の“最狂”全女伝説』発売記念! 【柳澤 健】
 
柳澤 健
1960年、東京都生まれ。ノンフィクション作家。慶應義塾大学法学部卒業後、文藝春秋に入社。雑誌「Number」などを担当し、03年にフリーライターに転身。07年に『1976年のアントニオ猪木』を発表。全女に魅了され、著書に『1985年のクラッシュ・ギャルズ』『1993年の女子プロレス』がある。近年では『1984年のUWF』を発売し話題となる。
 
 
 世界最狂の団体「全女」
 
―― 本日は単行本『吉田豪の〝最狂″全女伝説』(以下、『全女伝説』)の発売記念で、全女本の先輩である柳澤健さんと全女について話したいと思います!
柳澤 今回、豪さんの連載を読ませてもらって思ったのは、みんなが全女というか松永兄弟からひどい目に遭いながらも嫌いじゃないことで、ホントに嫌いだって言ってるのは井上京子とデビル雅美ぐらいじゃないかな。
 
―― インタビューを続けた結果、全女って宗教団体みたいなものだって結論になったんですよね。みんな洗脳されて「ひどい目に遭ったけど、みんないい人だし楽しかった」って言うようになって。この本には全女時代に団体対抗戦を仕掛けたロッシー小川さんの悪口もよく出てくるんですけど、当時の選手から信頼がない感じもおもしろいんですよ。
柳澤 ロッシーは人としておもしろいですよね。松永兄弟とは距離を置いてるのに、一方ではすごく全女っぽい。

―― 小川さんは全女流のやり方を宗教的な関係のないままやってた人で、対抗戦のときも全女流で平気で仕掛けてたから他団体の人は怒ってたけど、それも当然なんですよ。だって全女の選手みたいに洗脳されてないから。
柳澤 他団体の選手の方が明らかにまともなんです(笑)。これまでいろんな人が全女の選手にインタビューしてるけど、「全女ってなんなの?」っていうクエスチョンマークを抱えつつ多くの人に連続インタビューして1冊の本にまとめたのは僕と豪さんだけだと思います。さすがに〝プロインタビュアー″だけのことはあって僕よりも深いし、調べてる量が半端じゃないと思いました。

―― 柳澤さんが土壌を作ってくれた部分はありますけどね。押さえ込みについて聞きやすい空気を作ってくれたのは柳澤さんですよ。ブル(中野)さんですら探り探りでしたからね、「これってみんな言ってるんですよね?」って。
柳澤 そうでしょ(笑)。私の『1993年の女子プロレス』のなかで一番とんがってるインタビューはジャガー横田さん。2時間もらえる予定だったんですけど、「1時間しか時間がとれない」とその場で言われて、だったらしかたがないと思って最初から最後まで押さえ込みの話を聞きました。全女に押さえ込みルールがあるという話はチラチラ出るけど、実際どのようなものだったのかはよくわからない。じつは映像を観てもわからない。具体的な説明が必要なんです。「押さえ込みって何なの?」っていうのは、途中から『1993年の女子プロレス』の中心テーマになりましたね。全女を「世界最狂の団体」と命名したのは私ですけど、歌だのミュージカルだの流血だの金網だのの中心に存在していたのが、じつは真剣勝負の押さえ込みルールだった、なんてあり得ない話です。

―― タイトルマッチであろうが平気でガチにもなるし、負けたらガチで引退していく。
柳澤 でも、大森ゆかりは「何それ?」みたいな(笑)。あそこはめちゃめちゃ面白かったですね。押さえ込みの試合で松永兄弟が賭けをしていたってことを知ってる人と知らない人がいるじゃん。大森ゆかりなんか何も知らなかったんだっけ?

―― プロとして知らない振りをしているのか、意外と押さえ込みが強くて勝ってる側は知らないのか、そこもわからなくて。負けた側が文句を言われてたのかもしれないし。
柳澤 なるほど、「おまえが弱いから俺はカネを取られたんだ!」って怒られるから(笑)。押さえ込みという価値観のなかで上がっていこうとする人たちと、こんなのプロレスじゃない、と押さえ込みを否定する人たちの相克があった。たとえばいま私は『2011年の棚橋弘至と中邑真輔』という本を書いてます。中邑真輔は、猪木さんが新日本プロレスを支配していた2000年代前半に総合格闘技に対応できるプロレスラーとして上がっていこうと頑張っていた。ジャガー横田はそれに似たところがあります。

―― ジャガー横田~ライオネス飛鳥というストロングスタイル側と、デビル雅美~長与千種というショーアップした側に分かれてて。
柳澤 そうそう。だから棚橋が長与千種、中邑がライオネス飛鳥って考えるとわかりやすいのかな。

―― 飛鳥が途中で「あれ?」となる、と。
柳澤 そうそう。お前のプロレスはつまらないってどういうこと? 強い人が上に行くはずなんじゃなかったの?ってね。生真面目なんですよね、中邑にしても飛鳥にしても。与えられた環境に適応することはできても、環境そのものを疑うことは難しい。棚橋や長与はそこが違っていて、棚橋は「アントニオ猪木が作り出した世界観がもう時代遅れになっている」「中邑はストロングスタイルの呪いにかかっている」と否定する。長与千種も「押さえ込みルールが存在すること自体が間違っている」と否定する。新日本プロレスと全日本女子プロレスという日本の男女のメジャー団体で同じようなことが起こったのはすごくおもしろいと思います。

―― それを否定したら人気が再燃して。
柳澤 はい。古い思想を捨てると、時代の流れに対応できるようになるんです。あと、『全女伝説』でおもしろかったのは、『1993年の女子プロレス』には出てこないダンプ松本インタビューですよね。私はダンプはずっと飛鳥、ジャガーの一派だと思っていたので、人気が出たらジャガーさんに嫉妬されたとか、ジャガーとデビルが組んで自分を潰しにきた、という話はとても興味深く読みました。

―― ひたすら悪口を言い続けてましたね。だんだん誰がいい人なのかわからなくなってくる感じが、個人的には興味深いんですよね。大森ゆかりさんとかは異常にフワフワして。
柳澤 大森ゆかりインタビューはホントに凄かったね!

―― ビックリするぐらい深みのないインタビューで、それはそれでおもしろいですけど。
柳澤 いやいや、最高でしたよ。「え、そんなことあったの?」みたいな、あのノホホンとした感じ(笑)。全女という凄絶なイジメ空間を、無傷のまま通り抜けた感じがします。

―― 人間性がそのまま出ますよね。ブル中野さんが「すごくいい人で、あの2人にだけは殴られたことがない」って言ってたけど、ホントに大森ゆかりさんとクレーン・ユウさんは死ぬほどいい人なんだろうなっていう。
柳澤 とんでもなく変わった人の集まりの中で、まともな人で居続けるのは凄く難しいんでしょうね。きっと。私の中では、ジャガーさんはしっかりしていて、人格者なんだろう、と思ってたんだけど、それがまた崩されていく感じが素晴らしい(笑)。

―― 誰かが褒めてる人も誰かが否定してたりで、誰の話を信じていいのかわからなくなってきて、最終的にはブルさんの意見ぐらいしか冷静に聞けなくなってくるんですよね。
柳澤 ほかはなんらかのバイアスがかかってますよね。『中野のぶるちゃん』(ブル中野経営のカウンターバー)に飲みに行ったとき、えっちゃん(三田英津子)から、『1993年の女子プロレス』の話をされたことがあったんです。あの本の中で、豊田真奈美は「私は山田敏代だとかラスカチョのふたりに散々無視されたけど、私の方が売れていたからどうってことなかった」と発言しているんですけど、「そのことに関しては私だって言いたいことがあるよ」ってえっちゃんが言うわけです(笑)。

―― でしょうね。まあ、完全に豊田サイドにも理由というか問題があるはずですから。
柳澤 あるんでしょうね(笑)。えっちゃんにも話を聞きたいなとは思ったけど、もう文庫になっちゃったから聞く機会がないんですけど。インタビューが言いっ放しなのは仕方がないですよね。『証言UWF』(柳澤健『1984年のUWF』のアンサー本)」は宝島社から送ってこなかったから読んでないんですけど、同じようなことがあるだろうな、と思って。

―― ダハハハハ! 『1984年のUWF』も『証言UWF』もおもしろい本でしたよ。
柳澤 ホント? ありがとうございます。でも、ここらへんはカットね。

―― なんでですか? 載せましょうよ!
柳澤 やだよ! 女子プロの話をしようよ! 

―― いまそっちも話題じゃないですか。
柳澤 やだよ、だって炎上するもん!

―― 柳澤さんのスタンスはわかるんですよ。これまで前田日明の発言を中心に語られてきたUWFを、違う視点から書いてみるのは。
柳澤 うれしいけど、でも、これ雑談ですからね、雑談! 記事にするときUの話はカットね(笑)!

―― 柳澤さんは何も話してないから大丈夫ですよ! 結局、全女についていろんな人に取材して、誰が本当のことを言っているかわからなくなったのをそのまま提示したのがボクの本なんですけど、やっぱりUWFも選手の数だけ真実があると思うんですよ。そんな中、柳澤さんがノンフィクションとして自分なりの見解を書いたことで、当事者というか特に前田さんが怒ったりしているのが『1984年のUWF』なんだろうなと思いました。
柳澤 話を聞くとわからなくなる、みたいなところはありますよね。『全女伝説』では、ジャガーさんのいい人感がちょっとだけわからなくなりましたね(笑)。

―― 何が真実かがわからなくなる。ダンプさんは「ナンシー久美はいじめばかりする悪人!」みたいな感じで言ってたけど、いざ会ってみたらすごくいい人じゃん、みたいな。
柳澤 私もいい人じゃん(笑)と、思いました。でも、またうしろのほうめくってみると、やっぱりナンシーさんはひどい人なんだ、みたいになって。

―― 「ダンプは練習嫌いだからキツく言うしかなかった」って話だったのに、「え、ナンシーさんも練習嫌いだったの?」みたいな。
柳澤 前提がいちいち崩れていく。私の本でも「これは違う」っていうのは当然出てくるんでしょうけど、それは避けられないことでもあるんだよね、一面的な解釈だから。

―― そりゃあUWF本でも不満は出ますよ。
柳澤 自分が悪いんですけど……また全女の話に戻していい?
―― 了解です(笑)。
 

ーーインタビューの続きは現在発売中のBUBKA2017年8月号で!

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