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吉田豪インタビュー

【BUBKA 2017年7月号】 吉田豪インタビュー BUBKA流スーパースター列伝 【ブル中野】 クラッシュ以降に全女を支えたヒール・ヒーローが語る 全女とは何か?

クラッシュギャルズと極悪同盟が死闘を繰り広げていた頃に全女で活躍し、先輩レスラーの中でもまれてきたブル中野。その後は獄門党を結成し、全女のリングでアジャとの伝説的な試合を築き上げてきた。今まで当連載で聞いてきた全女の凄まじいエピソードの数々を彼女に総括してもらった!

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ブル中野
 
ブル中野
1968年1月8日生まれ。埼玉県出身。83年に全日本女子プロレスに入門。ダンプ松本の極悪同盟に加入。ヒールレスラーとして活躍。88年に自身をリーダーとする獄門党を結成。90年代にはアジャ・コングとの金網デスマッチで話題に。93年にアメリカWWF(現WWE)で活躍。97年にプロレスラーを引退し、一時はプロゴルファーに転身したり活動は多岐に渡った。現在は中野でガールズ婆バー『中野のぶるちゃん』を経営中。
 
 
 新人は賭けの対象
 
―― ブルさんには7年前にも取材させてもらってるんですけど、改めて全女がどれだけ特殊な団体だったのか総括していただきます!
ブル はい。まあ、全女の選手にとってはそれがふつうって感じだとは思うんですけど。
 
―― 常識が完全に狂わされてるから、あとから異常な団体だったと気づくみたいですね。
ブル そうですね。全女っていう国だったんで、国の外に出てからって感じです。私の場合は金網の外に出てからわかったという。
 
―― これは世界でも稀なプロレス団体だと。
ブル プロレス団体としても会社としても(笑)。いまならすべてに関してブラックって言われてましたよね。ただ、常識的な会社だったらああいう試合はできなかったと思うんで、あの環境が全女の闘い方を作ったし。
 
―― 全女の新人は、ほぼスパーリングそのままの試合をリングでやらされるんですよね。
ブル はい。道場ではスパーリングやらされてましたけど、ケンカみたいなもんですよ。
 
―― ブルさんはスパーリングも強くて。
ブル 強かったですね、もともと柔道もやってたんで。それに体も大きかったし。
 
―― ストリートファイトもやってたしで。
ブル そうです。全女に入る前に十分なトレーニングは積んできたんで(笑)。
 
―― ただ、先輩に勝っちゃうといろいろややこしいことがあったって噂も聞きましたよ。
ブル そうですよね。勝ちたいですけど、勝っちゃったあとの生活のことを考えるとなかなか(笑)。まあ、でも勝ちますけどね。
 
―― 勝っちゃうとどうなるんですか?
ブル そのあとは要注意人物みたいに扱われますね。「あいつ、いまのうち潰しとこうぜ」みたいな(笑)。絶対みんなそうだったと思うし、そういう環境でガーンと出てくるっていうのがそんなにいなかったのかな? クラッシュ(ギャルズ)さんのときはデビル(雅美)さんは長与(千種)さんをかわいがってたし、ジャガー(横田)さんは(ライオネス)飛鳥さんをかわいがってたし、トップがいたなかでスターができていったんで。
 
―― そういうバックアップ体制もあって。ブルさんが入ったときは誰派だったんですか?
ブル 私は入ってすぐは長与さんでしたね。で、すぐにダンプ(松本)さんに呼ばれて、「おまえは悪役になるしかないんだから」「体も大きいしブスなんだから、どうにもならないんだよ」みたいな感じで毎日毎日言われて、ずっと洗脳されて。最終的には今日こそ「は……い」って言わなきゃダメだなと思って、「わかりました、やります」って言ったらすぐに会長のとこ連れてかれて、「この子、悪役になりたいって言ってるんですよ」「じゃあよし」って、それで悪役になって。
 
―― 「ブスだから」で選ばれるんですか?
ブル ブス、デブですね(笑)。
 
―― ダハハハハ! でも、ブルさんは全然そんなタイプじゃなかったじゃないですか!
ブル いやいや、デカいしブスだし(笑)。あだ名もパンダだったし、ヌボーッとした感じだったんですかね。悪役はやりたくなかったし、でも会社のなかでも新人が入ってくると賭けをするんです。誰が一番に辞めるか賭けてるんですよ。私、一番人気だったんですよ、同期のなかで一番初めに辞めるって。
 
―― ホント賭けが好きですよね、あの会社。
ブル ホントに一番先に辞めると思われてたから、ダンプさんもよく誘ったなと思って。
 
―― それは体形が理由だった(笑)。
ブル あとクレーン(・ユウ)さんと仲悪かったんで、クレーンさんを辞めさせて誰か入れたかったと思うんです。一応ツートップだったじゃないですか、同期だったんで。
 
―― クレーンさんも取材に行ったんですけど、いざ会ったらすごくいい人でしたね。
ブル そうなんですよ。いい人だとなかなか大成できないんです……大丈夫かなこれ?
 
―― ダハハハハ! 「いい人」って褒めてるから大丈夫だと思います(笑)。そういう世界だと思うんですよ。人を押しのけるような人じゃないとスターにはなれない世界だし。
ブル でも、これホントなんですよね。私、全女の先輩のなかで殴られたことないのがユウさんと大森(ゆかり)さんだけなんです。
 
―― ああ、ふたりともすごくいい人でした。大森さんも邪気が全然なくて驚きましたよ。
ブル ホントにいい方で。このふたりだけには平手でも殴られたことないですね。あとの人は、みんななんかやられましたけど……。
 
―― 基本、鉄拳制裁当たり前の世界で。何も知らないで入ってきて、ここはややこしい世界だなっていうのはすぐわかったんですか?
ブル 初めはわからないですね。あっちも新人というよりファンと思って扱う感じが半分あると思うんで。いつ辞めるかわかんないからホントのことを見せちゃうと外で言われちゃうし。だから初めの頃はふつうで、だんだんプロテストとか受かったりすると、そこから全女の一員として扱われていく感じで。
 
―― そこから、ややこしい人間関係も目の当たりにするようになるわけですかね(笑)。
ブル はい。だからテレビで観てたスターたちが……もうガッカリですよ! 「え、この人、いい人じゃなかったの?」って(笑)。
 
―― クラッシュが派閥で分かれてるなんて、ファンにはまずわからないことですもんね。
ブル そうですね。クラッシュギャルズさんのブームになってから入門した新人はすぐに「誰のファンなの?」って聞かれて、飛鳥さんか長与さんかダンプさんですよね。ダンプさんはほとんどいないんですけど。どっちかの名前を言ったらどっちかからは食事に誘われないっていうのもありました。その派閥以外の名前言っちゃった人はもうブーッです。「空気読んでねえ!」「こいつ生き残っていけないな」って感じで。とりあえずどっかに入っておかないとどうにもならないんです。
 
―― 不思議なのは、長与さんとダンプさんも新人時代は落ちこぼれ同士で、すごい仲良かったわけじゃないですか。それが、人気が出ると派閥で敵対するようになるんですよね。
ブル プロレスが関わってなければホントにみんな仲いいし、いい人なんですよね。だけどやっぱり一番大事なプロレスが関わっちゃうと、絶対に自分が一番だと思ってるんで。長与さんとダンプさんは落ちこぼれてて前半の試合やってたんだけど、だんだんメインイベンターになってくると今度は誰が一番なんだってなるんですよ。だから、みんな自分の汚いところまでも見せちゃいますよね。それをさらけ出してでも一番を獲りたいんです。
 
―― それは抗争のリアリティも出ると思うんですよ。「プロレスってショーでしょ」みたいなことを言う人たちに、「違うよ、全女は本気で憎み合ってる人たちが殺し合う団体なんだよ」って反論したくなるんですよね。
ブル ハハハハハ! でも、たぶんホントにみんな嫌い合ってたと思うんで。そこのなかでもちゃんとプロとしての試合があって、ホントはすごく嫌いなんだけど見せるところは見せる、相手のいいところは引き出すっていうのができたところがホント全女ですよね。
 
 
--ブル中野インタビューの続きは6月30日発売の『吉田豪の“最狂”全女伝説』(アマゾン)に収録。 また、7月3日には単行本発売を記念してブル中野さん・吉田豪さんのトークイベントを開催!
 
●日時:2017年07月03日(月)19:00~
●場所:書泉グランデ(神保町)7F
●イベント参加方法:6月23日(金)より神保町・書泉グランデ地下1階にて『吉田豪の”最狂”全女伝説女子プロレスラー・インタビュー集』をご予約・ご購入の方、先着50名様(予定)にイベント参加券を差し上げます。 詳細はコチラ(白夜書房HP)
 

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