ブブカ

ももいろクローバーZ

元週刊プロレス記者・小島和宏のももクロZ追っかけレポート

『5TH DIMENSION』ツアーが賛否両論を起こしている。あるファンは絶望し、あるファンはさらに信仰を深めるこのツアー。かつて「少しでももクロいいよね」と言ったことのある者は、いまももクロの現場に何が起きているのか知るべし!

【PR】
【PR】
ももいろクローバーZ

 

『5TH DIMENSION』

「気味が悪い」として話題になったジャケット(『5TH DIMENSION』 初回限定盤A/KICS)

3月12日に開幕した『5TH DIMENSION』ツアーは、まさに賛否両論を巻き起こした。

ツアータイトルは4月10日にリリースされたニューアルバムからきているのだが、なんとアルバムが世に出回る前に、そのアルバムの楽曲を、収録順にステージで披露するというのが今回のツアーの試み。

その世界観を守るために、公演スタートから約90分間、ペンライトやサイリウムの使用は全面的に禁止。その代わり、入り口では「5次元ベルト」なるものが来場者全員に配布され、演出サイドの操作によって、そのベルトが5色の光を放つシステム。

その光の演出は非常に凝っていて、夏菜子のソロのときには赤のバンドだけが光ったりするので、客席とステージが一体化する。逆にまったく光らない局面では、ももクロの現場ではこれまで実現不可能だった「暗闇」が発生することになり、非常に新鮮な景色が広がった。

紅白出演後、初の全国ツアー。

普通だったら、これまでのヒット曲を詰めこんだベスト盤的なライブにするところ。観客の満足度は間違いなく高くなるし、そこには多幸感しか残らないだろう。

しかし、それをやってしまったら「紅白の向こう側」どころか、紅白のステージからずっと足踏みをしているだけの状態が続くだけ。もちろん、反発も大きくな るが、なにかを仕掛けるのであれば、このタイミングしかなかったし、集客力と知名度、そしてパフォーマンス能力の三拍子が揃っている今でないとできない チャレンジだった。

とはいえ、アルバム曲だけでステージを構成する、という「冒険」には驚いた。

初日の時点では、シングル曲を除いては、まだ一曲も世に出ていない。直前になって、公式サイトでアルバムの曲順が明かされるなど、なにげないネタバレは あったが(事前にチェックしていた人は、シングル曲の入るタイミングで、セットリストがアルバムの収録順であることがわかったはず)、ひたすら「知らない 曲」ばかりが続くのだから……盛りあがろう、と立ち上がったファンが、ただただポカーンと立ち尽くしてしまう、という初日の光景はなんとも衝撃的だった。

しかも、衣装はいままでのような色分けもなく、胸にワンポイントでイメージカラーが入っている程度。顔は仮面で覆われ(衣装チェンジのたびに、どんどん顔の露出度は大きくなっていく)、彼女たちの全貌は見えない。

それどころか、MCコーナーなども一切なし。本当にももクロはステージで歌って踊るだけなのだ!

もちろん、救済策として(?)、アンコール以降はサイリウムの使用が解禁され、そこではちょっと古めの楽曲を全力で披露。おなじみの自己紹介もあれば、グ ダグダなトークもある。サイリウム解禁のカウントダウンに合わせて、暗闇が一瞬にして5色の光に彩られ、これまで溜めこんでいた熱量が一気に客席から放出 されるパワーは、とてつもないものだった。

おそらく、ほとんどの観客はバカ騒ぎがしたくて会場に足を運んでいる。それが主目的のファンからすれば、ひたすら5次元の世界が繰り広げられ、せっかく持参したサイリウムを振り回せないコンサートの「本編」を不満に思っただろう。

実際に納得できない、満足できない、という声をたくさん聞いた。

そう、5次元の世界とは、ファンに対する「踏み絵」でもあったのだ。

僕は踏んだ。

なんならコンサート中は着席して鑑賞し、終演と同時に立ち上がって、スタンディングオベーションをするぐらいでもいいのでは、と思った。

それは僕がおっさんで、いろんなエンターテインメントをライブで見てきているから、そう思えるだけなのかもしれない。

コンサートはもちろん、よしもと新喜劇から宝塚まで劇場で見ているから、それぞれの会場のTPOに合わせて楽しむことには慣れている。落語の高座中に寝ていたら談志から「出ていけ」と怒鳴られても仕方がないし、歌舞伎座で始終、奇声をあげていたら大顰蹙を買う。

ただアイドルの現場では「騒いでナンボ」の部分がある。その楽しさがももクロのライブの評判の高さにつながってきた時代もあったし、それは否定できないが、それがすべてではないのでは? という意味での「踏み絵」だった、と僕は感じた。

つまり、あなたは「ももクロが好きなのか?」、それとも「ももクロを見て、騒ぐのが好きなのか?」。前者であれば、5次元の世界を存分に体感できただろうし、後者であれば、大きな不満を抱えたはずだ。

騒ぎたいだけなら、別の現場もあるし、実際、すでにそちらへとスライドしてしまった人も多い。でも「ももクロが好き」という思いがあるのなら、「うりゃ、オイ!」なしでも満足できるのではないか?

少なからず、5人にはそれだけのステージを見せることが、聴かせることできるだけの実力がすでにある。

別に運営サイドが積極的に踏み絵を提示したのではなくて、そういった状況下での冒険的な試みは、必然的に踏み絵を突きつける結果になった、ということ。

まさに過渡期であり、これこそが「紅白の向こう側」なのだ。

僕は、ビッグマッチになると、いつも登場したときから泣いている有安杏果が、必死に涙をこらえて5次元の世界の住人になっている姿を見た瞬間に「あっ、そ れだけの覚悟でステージにあがっているのであれば、こっちも見守るべきだ」と感じた。喉を休ませ、歌唱法も変えて復帰してきたのだから、歌声にコールを被 せずに耳を傾けるべきではないのか、と。

ステージでのパフォーマンスには満足したが、いろいろと考えさせられることが多かったツアー初日だった。

(後半はBUBKA6月号に掲載しております!)

 

momoclo.jpg

ももいろクローバーZ(ももいろくろーばーぜっと)

日本の5人組女性アイドルグループ。所属事務所はスターダストプロモーション。ユニット名は「ピュアな女の子が、幸せを運びたい」という意味を込めて名付けられた。学生メンバーがメインのため活動が土日中心なことから「週末ヒロイン」を標榜している。「いま、会えるアイドル」をキャッチフレーズに、数人の客を前にした路上ライブから出発。CDの手売り、車中泊での地方巡業といった下積みを経て、結成2年でメジャーデビュー。大物ミュージシャンとの親交も厚い。

 

PICK UP とにかく読んで頂けないか

BUBKA(ブブカ)最新号

RANKING あなたが読めばランクも変わる

情報提供

リリース情報やイベント開催情報のほか、アイドル、芸能、カルチャー全般に関する情報提供をいただける場合は下記メールアドレスまでお気軽にご連絡ください。

bbk@byakuya-net.co.jp